My Life Style
Sumikaの巻頭特集
Chocolat ~ショコラ~
夏は涼やかな木陰を落とし、冬には木漏れ日が揺れる、アプローチや庭の木々。閑静な住宅街の一角に佇む「庭と暮らす人」の棲家を訪ねた。(イラスト•平山理絵子)
ドングリの木が風に揺れ、とりどりの緑や花に彩られた『ショコラ』のアプローチ。庭も住まいも冬支度の季節だが、冬には冬の庭の楽しみ方があるという。平山さん愛用の竹ぼうきは、長年の使用により穂先が切れてすっかり短くなってしまったがまだまだ現役。
閑静な住宅街の一角に佇む、緑に囲まれた小さな棲家。アプローチにはリズミカルに枝葉を広げる植栽や植木鉢に混ざって、ささやかな看板が置かれています。ここは、二棟の住宅をリフォームによって一棟に繋げ、住居兼店舗として町にひらく『ショコラ』。ごくまれにお菓子屋さんやケーキ屋さんと間違えて訪れる方もいるそうですが、ひとたび店内に足を踏み入れれば(空腹を忘れて)グリーンや雑貨が織りなす不思議な世界観に引き込まれてしまいます。
オーナーの平山理絵子さんは鹿児島のご出身。小学校からは宮崎で育ちました。関西の大学を出て23歳で宮崎へ戻ると、設計や建築の仕事に携わりながらプランニングから庭づくりまで幅広くご自身の見識と感性を発揮するようになります。
「インテリアや庭にこだわりを持ったのは、思い返せば小学1年生くらいの頃から。高学年になると普通の学習机やテーブルでは納得がいかなくて、自分で見つけた家具屋さんに親を連れて行って好みの木のテーブルを買ってもらいました」と振り返ります。
そんな平山さんが独立して念願のお店を構えたのは2010年頃。築35年と、築45年の2棟の住宅を一棟に繋げ、『ショコラ』をオープンさせました(ちなみに、好きな映画のタイトルから店名を決めたそうです)。お店を開くのは月・火・木・金・土曜。午後の13時~18時の営業となっています。
店内に並ぶのは、オーナーの平山さん自らセレクトしたガーデングッズやインテリア用品、生活雑貨、古道具、食器など様々。ご自身がフランス好きということもあり、ヨーロッパの蚤の市を思わせるような素敵な空気感に包まれています。「商品を選ぶ基準は、まず色やフォルム、そして佇まい。車輪がついた暮らしの道具もなぜか好きです」と話す理絵子さん。
フランスを訪れた際に感じたのは「日々の生活や庭の過ごし方を通して、みんな今を生きることを楽しんでいる」ということ。そんなかけがえのない時間に寄り添う道具たちは、目で見て楽しむだけでなく、実際に使うことで毎日の暮らしにしっくりと馴染んでいくことでしょう。
店舗奥に広がる住居スペースは、平山さんの「好き」が詰まった暮らしの空間。庭に面した窓からは朝の爽やかな陽射しが入り、緑のシルエットが風に揺れています。
ひときわ目を引くのは、赤いお皿やコップ、ポット、鍋などが並ぶキッチン。ガスコンロの天板も赤色です。理絵子さん日く「赤色は元気が出てくる色だし、物が雑然と並んでいても不思議とゴチャゴチャしない」とのこと。「料理は苦手」と謙遜する理絵子さんですが、台所仕事を楽しむためにも赤色を多く取り入れているそうです。
午前中は現場に出て庭の施工やメンテナンスに汗を流し、午後からはお店を開ける毎日。理絵子さんが手がける庭は、リビングのように過ごすことができる「暮らす庭」。家と庭を分けずに、暮らしの中に「庭で過ごす時間」を取り入れてほしいと願っています。
店舗、住まい、庭ともに少しずつ手を加えながら営んできた『ショコラ』の日々。理絵子さんは今後について「生きることを楽しみながら、時間の流れを大切にしながら、人生が薔薇色(赤色)になるように暮らしていきたい」と話します。