My Life Style
Sumikaの巻頭特集
器と暮らしの道具 OLIOLI
仕合わせとは、異なる二つの動作や物事がめぐり合うこと(転じて幸せ)。
訪ねたのは「器と暮らしの道具 OLIOLI」。
古来から人と物と心がめぐり合い、交わってきた日向の港町で、器と暮らしが織りなす小さなシアワセに出会った。
自然光と小さな灯りのバランスが心落ち着く店内 (写真と文・高比良有城)
小さな民家をリノベーションした『器と暮らしの道具OLIOLI』。情緒ある港町の風景に馴染む白い外壁と切妻の瓦屋根が特徴。
板張りの床が心地よくきしむ店内は、陽光をたっぷりと含んだ居心地のいい空間。テーブルや棚、什器の上には、とりどりの、そしておりおりの器や暮らしの道具たちが(主張しすぎることなく)独持の存在感をもって佇んでいる。
オーナーの金澤美香さんは、日向市細島の生まれ。高校卒業後、福岡の短大へ進学。以来、熊本、福井、鳥取、広島、長崎、京都、岐阜など様々な土地を旅するように暮らしてきた。
勤めてすぐの22歳の頃には陶芸教室に通って土と触れ合うなど、器のある暮らしを長く愉しんできた。
2008年に地元にUターンすると、器と暮らしの道具を扱う「OLIOLI」の屋号を掲げた。当初はネットショップでの運営だったが、「実際に見て、触れてから選んでほしい」と2013年に実店舗をオープン。店内には金澤さん自ら全国各地を訪ねてセレクトした作家の作品が並んでいる。「お気に入りの器こそ、暮らしの中て実際に使ってほしい。使うほどに愛着も湧くし、なにより暮らしがが丁寧になる」と話す美香さん。
和洋を問わず日々の暮らしに寄り添う器たち。美香さんは「使い方や楽しみ方もそれぞれ。メザシを乗せてもタルトを乗せてもしっくりと馴染むから不思議ですよね」と、お皿の上でめぐり合う小さな仕合わせを日々実感している。
『OLIOLI』では器作家だけでなく物作り作家による企画展や展示会なども開催。8月には鹿児島在住の帽子作家であるヒメオ氏の展示会を企画。
コツコツとリノベーションを重ねてきた店内には、おこもり感のある喫茶スペースも併設。ご主入が心を込めて焙煎したオリジナルのコーヒーを嗜むことができる。
潮風が心地いい港町の白いお店は、今日も町と人に寄り添い、それぞれの仕合わせをはぐくみ続けている。
※こちらの記事は2024年に発行された「住まいの雑誌Sumika 15号」に掲載された特集を再編集したものです。内容は取材当時のものとなります。