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築135年の古民家で至福の時間と空間を味わう

10年目のダコタ

<Sumika 13号>

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築135年の古民家をこつこつと改装し住まい、食堂、ギャラリー、酒屋など衣食住にまつわるあれこれが揃う暮らしの場。佐土原の地に暖簾を掲げて今年で10年目。田んぽのほとりに佇むダコタを訪ねた。

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玄関土間を改装し、“美味しいお酒のセレクトショップ『兎と寅』”2号店をオープン WORDS & PHOTOGRAPHED by TAKAHIRA Yuuki

古民家の広い玄関土間は角打ちができる酒屋空間

 田んぼに囲まれたのどかな田舎道。近くの巨田大池には今年も大小さまざまの睡蓮の花が咲いています。水と緑の風景の中に仔むのは、築135年の古民家をコッコツと改装して進化を続けるダコタ。地元の食材を使った料理を中心に、衣食住にまつわる様々なトキやコトやモノやヒトに出会える暮らしの空間です。

 店主の倉持わかなさんは、雑誌や広告、WEB、CMなど様々な媒体で活躍するフードコーディネーター。東京と宮崎を行き来しながらコツコツと古民家を改築し、2013年に東京から宮崎へUターン。食堂ダコタをオープンしました。

 コロナ禍の2021年には、広々とした玄関土間を改装。「角打ち」ができる酒屋空間へと生まれ変わりました。屋号は『兎と寅』。東京都港区西麻布にある“美味しいお酒のセレクトショップ『兎と寅』”の2号店です。

 内装を手掛けたのは、宮崎市の『椿古道具店』。古民家が持つ佇まいを活かしつつ、ガラスや照明、棚板、暖簾受け、カウンターなどを新たにしつらえました。カウンターの天板はダコタの納屋に長年眠っていた無垢の1枚板を使用。室内の灯りは猿山修氏の自在照明、中村秀利氏の木工照明などを設置。光と影のコントラストが美しく、窓ガラスから注ぐ自然光と調和しています。白い暖簾がかかる引き戸は黒色に塗装。ほのかに灯る丸い玄関灯が、だれやめの時間(と空間)へ誘います。

猿山修デザインの自在照明
白い暖簾と、ほのかな灯りに誘われて
角打ちができる『兎と寅』

新たな価値観を発信する田んぼのほとりのダコタ

 「最寄り駅は渋谷駅」という東京での生活から一転し、広い空と緑の風に吹かれて過ごす宮崎暮らし。移住の大きなきっかけは2011年の東日本大震災。2人のお子さんの将米や健康を考え、わかなさんの実家がある宮崎への移住を決めました。

 『ダコタ』の名の由来は、古い地名の巨田(こた)とアメリカのノース・ダコタ州にちなんで名付けられました。先住民族の「ダコタ族」といえば、ワシの羽根飾りを頭に挿して馬を駆るインディアンの姿でお馴染み。自然豊かな士地にあやかり「田舎から新しい情報や価値観を発信したい」との思いが込められています。とはいえ、佐土原の「ダコタ」は西都ICから車で5分というアクセスの良さ。新鮮な食材をふんだんに使った手料理の噂はロコミで広がり、県外からのゲストも多く訪れます。

季節の料理が味わえる「ダコタ』の食空間
愛犬のマヤ
愛猫のユキ
改装した納屋はギャラリーとして利用

 『兎と寅』のオープンに合わせて、母屋に続く納屋も改装。歴史が泌み込んだ土壁やひんやりとした土聞、大きな梁、そして空間に馴染む照明、古家具、古道具の仔まいが魅力的。納屋はフリースペースとして運営し、ギャラリー、イベント、企画展など様々な空間へと自在に変化。衣食住にまつわるあれこれを通して、暮らしに寄り添います。町や人に開かれたオープンな場は、わかなさんの食を通して人の繋がりを広げ続けています(ちなみにインディアンの「ダコタ」という言葉には「仲間」という意味があるそうです)。

これまでの10年と これからの10年20年

 わかなさんは福岡生まれの宮崎育ち。東京の専門学校で写真を学び、やがてデザイナーとして広告業界に携わります。

 フードコーディネーターの出会いもこの頃。もともと料理が得滋だったわかなさんは、撮影に立ち会った際にフードコーディネーターこそ「写真」「デザイン」「料理」という3つのスキルが繋がる仕事だと確信したそうです。

ライフスタイルに合わせてDIYを施した居住空間下
屋根裏のプライベート空間

 古民家のリノベーションを手がけたのは、ご主人の雅人さん。大工さんや専門業者の力を借りながら、およそ7ヶ月をかけてコッコツと大工仕事に汗を流しました。雅人さんは東京の生まれ育ち。学生時代にはデザイン、建築、インテリアを学びました。木工家具の職人を志した期間を経て、表現の幅を模索するうちに鉄工と出会います。「鉄や金属は溶接したり、曲げたり、切ったり、自分のイメージをよりカタチにしやすい」と話す雅人さん。移住後は納屋の一角を工房に改装し、鉄や火と向き合っています。

 宮崎へのUターン、そしてダコタのオープンから10年。時の流れや家族の成長に合わせて柔軟かつ自在に営んできたこれまでの経らし。わかなさんは「よりシンプルなライフスタイルを営んでいきたい」と話します。

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DACOTA(ダコタ)

宮崎市佐土原町上田島5827

https://www.instagram.com/cotawaka/

10年目のダコタ  Sumika 13号号

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