＜Sumika6号＞
えんとつのある家

音楽とお酒と炎とシチューのある家

都城市　Sさん家 / 竣工2016年　設計施工 井福建設

たて格子を効果的に使った木の家の佇まいが目を引くS邸。内と外をゆるやかに遮る（あるいは繋ぐ）立派な格子戸を引いた先が玄関。扉の前には大きな木のベンチがあり、玄関のデッキから伸びた板土間には半野外の囲炉裏スペースが設えられています。

祖父母の住まいを立て直した、えんとつのある家。築4年目の新しい棲み家ですが、昔ながらの家具や柱をそのまま再利用することで、心落ち着く「おばあちゃん家」のような雰囲気を醸し出しています。

室内に入ると、まず目を引くのがリビングと和室の間にまっすぐに走る土間。土間を挟んだリビング側は北欧風、和室側は昭和レトロな雰囲気。和と洋、そして新しさと懐かしさが同居した心地よい空間となっています。奥様曰く「日本と北欧の好きな物（古いもの）を揃えたら、違和感なく一つの空間に馴染んで落ち着いたとのこと。

新しい暮らしで思い描いたのは、薪ストーブを中心にした暮らし。奥様はキッチンとストーブを行き来しながら献立の組み合わせや付けあわせを思案中。「キッチンにこもって一人で料理するのではなく、リビングの中の薪ストーブを使うことで料理中も家族とのコミュニケーションがとれるんです」と話す奥様。得意料理はグラタン、ピザ、スペアリブ、シチュー、おでん、煮物etc・・・。いずれも薪ストーブが大活躍のメニューです。

火のある暮らしを楽しむ、6人家族のにぎやかな住まい。日中は元気で快活な笑い声が響きますが、お子さんが寝静まるとR&B好きのご主人と２人で「火と音楽とお酒」を愉しむ夜が訪れます。

※こちらの記事は2020年に発行された「住まいの雑誌Sumika 6号」に掲載された特集を再編集したものです。内容は取材当時のものとなります。