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種を蒔く家

<Sumika 9号>

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小さな集落の中に佇む、平屋の白い家。心の根っこを耕し、日々を大切に育てる都城市山田町・土方さん一家のお話。

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窓を開ければ風が通り抜ける、明るく開放的なリビング。中庭の緑が揺れ、木漏れ日が落ち、家に居ながらにして時間や季節の流れを感じることができる。自宅にテレビをおかないことで顔を見合わせながら話す時間もたっぷり。自宅をスタジオ代わりにして、インスタグラムやライン、ユーチューブなどのSNSを活用。子どもや初心者も楽しく英語を学べる様々なコンテンツを配信中。おしゃべり感覚で気軽に参加するうちに、いつしか私と世界が広く深く繋がっていくことを実感できるはず。英会話は、家の日常に溶け込み、2人の娘さんも臆することなく美しい発音で話している。(WORDS&PHOTOGRAPHS by TAKAHIRA Yuuki)

自由な思考と行動で 世界が繋がっていく

中庭の緑が揺れるリビング。底冷えする冬場には薪ストーブが大活躍

扉を開けると、光と風をいっぱいに取り込んだL字型のLDK空間が広がっています。子どもたちの元気のいい声とともに迎えてくれたのは、土方さん一家。長女の花月さんは県外へ進学し、現在はご夫婦+ふたりの娘さんの4人暮らし。シンプルでありながら、機能性と快適性を併せ持った棲家。築6年を迎えてすっかり町になじみ、家族と一緒ににぎやかな時間を共有しています。

ご主人の晴彦さんの仕事は、家畜(牛)の人工授精師。御池や西岳地区の牧場を中心に多くの牛の健康状態を管理。3年前に脱サラして資格を取得して以来、朝も昼も夜も1日も休むことなく牛舎へ足を運び、牛と向き合っています。

奥様の文子さんは愛知県のご出身。かつてはテレビ局のメイクさんとして働いていましたが、田舎暮らしとサーフィンヘの想いが高じて(いい波と人の縁を繋いでいくうちに)宮崎へ辿り着きました。現在は介護士として福祉にたずさわりながら、英語や農業、そして自らの体験を通した様々なコンテンツを発信・配信。各種SNSでの活動を覗けば、「自由な生き方・働き方」の種(ヒント)がたくさんちりばめられています。

基礎を高くすることで、平屋でありながらリビングやデッキからの広々とした眺めを確保。コンクリートの土台を掘った家庭菜園のスペースでは、トマト、カボチャ、スイカなどを栽培
薪割りはご主人の仕事。大きな丸太にリズムよく斧を振り下ろす
2台の洗濯機がフル稼働するランドリースぺース
左から土方晴彦さん、あさひちゃん、文子さん、ひなこちゃん

家と海と山をめぐる 足るを知る暮らし

ご主人の夢は自給自足。牛まれ育った地元の山野を愛し、時間をつくつては釣りや山菜摘みなどに出かける哨彦さん(かつては“牛飼い”を夢見たことも)。もっかの目標はお米づくり。そんな土方さん一家が月に2~3回通っているのは、友人が運営する農園『感謝ファーム』。

ファームを営むのは、ロサンゼルスから移り住んだアームシャーご夫妻。空き家に手を入れ、荒れた耕作地を開墾し、大地の恵みを糧にしたサスティナブル(持続可能)な暮らしを提案&実践するホームステッダー(自作農家・開拓者)です。

休みを利用して、友人が運営する農園で汗を流す土方さん一家
野良仕事の合間の水浴びも楽しみのひとつ
ファームを運営するアームシャー・ロバートさんと理恵さん

土を耕し、種を蒔き、水をかけ、育て、ありがたく収穫する。土の中の微生物から人間までがひとつに繋がって成り立つ暮らし…。

海外からのゲストも多く訪れる感謝ファームには、宮崎弁や鹿児島弁よりも多くの英語が飛び交います。くしくも文子さんは、自分と世界を繋ぐ大切なツールとしてコツコツと英語を学び続けてきました。日々を大切に、縁を結び、種を蒔くように暮らす土方さん一家。英会話もまた、自分らしい暮らしを実現するための、ひと粒の“種”だったのでしょう。

麦畑の収穫と天日干しには多くの仲間が参加した

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KANSHA FARM

鹿児島県曽於市財部町下財部4200-2

https://www.facebook.com/KanshaFarm/

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